読書感想/ただのオタクで売れてない芸人で借金300万円あったボクが、年収800万円になった件について。(天津・向清太朗)





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かって一世を風靡した「あると思います!」のエロ詩吟でおなじみ、天津・木村“じゃない方芸人“の天津・向清太朗。彼の2016年の年収は、なんと800万円です。テレビで見ることは殆どない。かってウケまくったネタがあるわけでもない彼が、なぜ同い年(37歳)の平均年収511万円より多くの収入を得ることができたのか? その秘密と秘訣を、余すことなく赤裸々に大公開します。

 

本書は大きく分けて2部構成になっています。前半はお笑い芸人として天津というコンビを組むところから、相方木村くんがエロ詩吟で売れるところ、そして先輩やいろんな人のアドバイスによって、自分が再生していくところが書かれています。後半は、オタク関係の仕事について。

状況説明として前半天津編はとても重要なのですが、オタクとして気になるのは後半、オタク仕事編。自分が4コマ漫画を好きなことをしゃべっていたらトークライブやコラムの仕事になったとか、自分で名刺やホームページ作ったり、ラノベプロットあげていって仕事掴んでいったエピソードなど、向さんがやっている幅広い仕事の始まりがわかっておもしろかったです。タレントさんとか芸人さんが好きだからといって、4コマ原作したり、ラノベ書いたり、アニソンイベントしたりってどういうきっかけなのかよくわからなかったけど、興味あったので知りたいことがわかりました。ここだけでも買ってよかった感じがします。あと、その各オタク仕事が、ジャンル別でどれが年収いくらになっているか書かれているのも興味深かったです。業界のことは全然わからないオタクとしては、これこんな安いの?これこんな高いの?とか結構思いました。4コマ原作ってこの金額なんだ。

 

仕事や生き方に役に立つビジネス書的な側面も強いと思います。好きについて積極的に表明したほうがイイとか、休みの日はこれから仕事にする準備時間とか、他のビジネス書でもよく書かれる内容ではありますが、お笑い芸人とオタクというジャンルで、先輩やこの人からこういう話があって、向さんが吸収し実行していったというのは、一般的なサラリーマンエピソードのビジネス書の10倍わかりやすかったし共感しました。オタクはやはり卑屈になったり、人の意見を素直に聞きにく種類の人間が多い気がします(自分含む。人のアドバイスを聞いて、真摯に実行するというのは簡単そうでなかなかできないのですが、こういう実のあるエピソードを読むと、少し取り組んでみようかなという気になります。「お前の好きな漫画の主人公はそうするのか」とか、浅沼さんのあの言い回しとか、いいですね。今日からこの言い回し使います。あと、すごい嫌われているエピソードでは、ニコ生コメントが具体的に例示されていたの笑いました。作品名とかは出さないけどこれは出せるんだって。

 

初回3/4くらい読み進めたところで「前半の天津編と後半オタク編で結構内容が乖離してるな。状況説明として必要だけど、前半あんまりいらないのでは?」という気がしました。しかし、そこは腐ってもラノベ作家。最後の締め方が泣かせてくれます。ここにつながる伏線だったんですね。なんだかんだいって本書は、オタク芸人向の本ではなく、お笑いコンビ天津の向のこれまでを追う自伝でした。お互いチグハグで好き勝手やっているコンビですが、木村さんはパンティーや車の運転、向さんは4コマや声優などお互いの好きなものをとことん突き詰めてそれに関わっている、そういう意味では似たものコンビなのかもしれません。


◆チラシ裏のコーナー◆

●本渡楓と天津向の『本渡上陸作戦』
⇒https://twitter.com/hjsakusen

●ANNi 田所あずさと天津向のどうせワレワレなんて・・
⇒https://i.allnightnippon.com/p/e_anni_douse_001

●伊福部・向のラジオ☆スターダストボーイズ
⇒http://ch.nicovideo.jp/ch452

 

向さんがオタクのヘイト集める(風の芸も含めて)のは、消費型オタクの嫉妬みたいなところあるのかなと思います。アニメ好きのお笑い芸人で、声優さんや漫画アニメ関係者とも近い位置で、アニメイベントの司会や原作とかの仕事できるってのは、単なる漫画家とか声優さんよりさらにオタクとして「なってみたいポジション」だと思います。ある意味、異世界転生の主人公になるより、向さんのポジションの方がうらやましいです。今後、そういうラノベ書いてください。主人公が突然、自分の好きなことを仕事にうまいこと転化できて中堅芸人としてやっていく話。もちろん苦労話込みで。

 

 

 





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