漫画感想/ざせつ男とまんが少女(石田敦子)





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夢を恐れない少女が描く
挫折と再生の物語

 

アワーズに連載されていた『ざせつ男とまんが少女』が単行本化されました。

 

まんが少女:高校3年生 峠あかり。授業中に漫画を描くほど漫画好きで、所属している漫研のぬるさや田舎の閉塞感に辛さを感じている。

ざせつ男:小中大介。生徒の夢を砕く指導をすることで有名。ついたあだ名はクラッシャー。

 

こんな2人が出会って、共鳴し、成長していく物語です。大介は一度挫折した大人として、あかりを諭す立場にあります。頑なに夢を否定する大介ですが、彼女の直向きさに心を動かされます。ざせつ男 と まんが少女 のどちら視点で読むかによって大きく印象の変わる作品です。私は自然にざせつ男視点で読んでいました。彼の哲学が解かりましたし、何よりまんが少女が眩しかった。石田敦子先生の描く天真爛漫で前向きな少女はもう直視できないほどに眩しい。至近距離で真っ直ぐこちらを見てくる彼女の直向きさは本当に若い。夢を見ることの楽しさから夢を知ることの恐ろしさを味わっても負けない気持ち。知ることでさらに強度を増した気持ちが彼女を突き動かします。

夢と挫折。誰もが経験したことある感情を、ドラマチックなストーリーと躍動的な作画で描く青春作品。テーマも普遍性があり、思春期中のティーンも通り過ぎた大人も、2人のどちらかに感情移入できるでしょう。きっと誰にでも何かしら感じるところがあるはずです。1巻完結で読みやすく、多くの方に読んでほしい作品です。

 

チラシ裏のコーナー
漫画作品としては失礼な言い方かもしれませんが、石田先生の漫画って脳内でアニメに変換されて動くんですよ。コマとコマの間の動きの補完がしやすい、人の脳を刺激する絵なんですよね。わかりやすいのは78ページの真ん中と下のコマ。漫画のコマというより絵コンテっぽいんですよね。石田作品読んでると、こういう表現の積み重ねで、脳みそが絵の動かし方を覚えてしまう。漫画なのに絵が動く快楽を覚えてしまうの、本当に麻薬。




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