漫画感想/金剛寺さんは面倒臭い 1巻(とよ田みのる)





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ラブコメ漫画表現の最先端のその先へ

 

『ラブロマ』のとよ田みのるが描く新触感ラブコメディ『金剛寺さんは面倒臭い』1巻が発売されました。

エクストリーム漫画学園で読み切り版が公開されて話題になり、ゲッサンにて連載、ついに単行本化されました。待ってるファン多かったんじゃないですかね。

正論!正論!超正論!口を開けば正論の面倒臭い金剛寺さんと地獄から来た心優しき鬼樺山プリンが繰り広げる、真面目で情熱的で優しいラブコメディです。まず本作はラブコメとして超面白い!当たり前だけど、ここは敢えて押さえておきたい。声を大にして言いたい!個性が強くて倒臭いヒロインが可愛いラブコメは千も万もありますが、本作はその基本のところが超強い。金剛寺さんが超可愛いんです!第3話「ワールドチューブ」で樺山が抱えているものを見て、心決める金剛寺さんの感情の揺らぎがとても可愛らしいです。おそらく今の性格を作っているものは、環境や状況からそうしなくてはならないという呪縛のようなものがあり、心の奥底には少女らしい感情が押し留められているのでしょう。今後、金剛寺さんの扉が開いてそういう一面を樺山くんがひとつづつ明かしてくれるのが楽しみでもあります。彼女の面倒臭さは、人間らしい感情の周りに着せられた鎧であり、その鎧ごと好きになった樺山くんは本当に偉い。彼の人のよさ(鬼のよさ?)も本作の大切な魅力の一つでもあります。

さらに、本作を語るに避けて通れない表現が2つがあります。それは「ナレーション」「本編とは大きく関わりのない物語」です。ラブコメにあるまじきハイテンションなナレーション。通常、ナレーション吹き出しは冷静で真面目なイメージを与えるシンプルな四角で囲まれることが多いですが、本作ではとげとげした破裂型の吹き出しが多用されます。大声で叫ぶナレーションがキャラクターの高揚感を表し、状況に熱を加えます。読者は、とにかくなんかすごいことが起こっているっ!!ことが雰囲気で解かりますし、本をめくる手が汗ばんできます。そのナレーションで使われる「本編とは~」が、2人の感情や世界観を色鮮やかに伝えてくれます。メインの2人がクローズアップされていますが、”地獄と繋がった日本”という変わったとても興味深い世界観になっています。この世界観を説明するのに、ハイテンションで「大きく関わりのない物語」「のちに語られることになる」とメタ視点を持って、語られるのが非常にコミカルで、早く先へ先へとページをめくる手がとまらなくなります。また、第5話「野獣復活」では、2人が食事しているレストランに居る人々が織りなすコメディとなっており、いままで散々「大きく関わりのない」と言ってたことが収束していくおかしみがあります。今後、いろんなところで「大きく関わりのない物語」が伏線となって回収されていくのか、いやもしかして本当に関わりがないのか、楽しみです。ストーリーテリングでこんな表現があるんだなと、感動しました。

1コマ、1文字のすべてがこの幸せな世界を形作っており、2人を祝福しています。帯の「その瞬間、誰もが皆幸せだった」には、読者も含まれています。こんな素敵な漫画を読める幸せを噛み締めつつ

待て、次巻!

 

 

 

 

チラシ裏のコーナー
漫画本編はもちろん、表紙も帯も最高だ。紙の本で持っていたい作品。




3 comments to “漫画感想/金剛寺さんは面倒臭い 1巻(とよ田みのる)”
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