格闘ゲームは競技か興行か、はたまた道か





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『喰いしん坊』という漫画があります。ただの美味いもの好きだったサラリーマン大原満太郎が、プロのフードファイターハンター錠二の大食いを見て感銘を受け、会社を辞め大食いの大会に出場するようになっていく、という漫画です。

作中では大食いのプロが存在します。大食いチャレンジ(かつ丼10杯を30分で食べたら1万円贈呈、みたいなもの)や、お店が宣伝にために行う大食いイベントの出演料で生計を立てています。しかし、それはごく一部でほとんどのプロが別に仕事を持っています。本職もしつつ、目標の大食いチャレンジや大会に向けて、大食いの練習や調整をして鍛錬に勤しむ日々。そしてそんな中、「大食いのスポーツ化」を理念に活動している団体と「大食いの興業化・商業化」を目指す団体で対立が生まれます。

これって格闘ゲームをとりまく現状にちょっと似てませんか?大食いチャレンジではなく格闘ゲーム大会、大食いイベント出演はそのまま格ゲーイベントだったりニコ生、など動画配信の出演に置き換えられます。毎日ゲームの練習をしますが、直接ゲームをするだけではなく、自分で攻略法を編み出したり、精神的な鍛練を行ったりすることも似ています。

格ゲーのe-sports化の話題を耳にすると、いつもこの『喰いしん坊』を思い出します。『喰いしん坊』では、興業派の団体が負けてしまいますが、邪道喰いという見た目の派手さを重視する余りマナーが悪い食べ方を多用したり、そもそも悪役ポジションだったりするわけで、商業的に努力することが悪し様に否定されたわけではない気がします。そもそも、スポーツ派の団体はトップが元産業連合会長でお金に困らず、選手をトレーニングする資金が溢れているわけですが、もしそうでなかったら所属選手を養うお金をどうしているのでしょうか。それを大会収入や広告料みたいなもの、つまり興業化しないで済んでるのは、今お金を持ってるだけであって、将来的な継続性を考えたらある程度のマネタイズは必要なのではないでしょうか。

格闘ゲームは、ゲーセンが潤っていた時代はゲーセンやその関係者主催の大会イベントが多くありました。イベント中は筐体に100円が入らないのですが、その前後にプレイしてもらうための宣伝としてゲーセン主催の大会がありました。またはプレイヤーが筐体を貸し切る形で大会を主催していました。そういう大らかな時代もありましたが、いまは変わりました。そもそもアーケード版がなくゲーセンにない格闘ゲームがあります。ゲーセンで大会をやる場合、場所と筐体がそろっていました。ゲーセン以外で大会をやる場合、場所代もゲーム機本体、ソフト、コントローラーも準備せねばならず、その運搬も大変です。大会を継続して開催してほしいなら一部の人の手弁当で続けるんじゃなくて、そこの資金調達をどうにかするべきなのかなぁって。

個人的な見解としては、スポーツ化も大事だし興業的なものも大事なので、10:0で考えるべきじゃなくてバランスとろうという、身もふたもないつまんない大人の意見しかでてこないんですが。武井荘さんもスポーツ選手のマネタイズについてツイッターで熱く語っていらっしゃた記憶があります。何事も続けるにはお金必要だし、なんだったら格ゲーでスゴいプレイできる人がスゴいお金手に入れて何が悪いんだ!くらいの感じだったんですね。
と思ってたら、こんな記事を見つけました。

■日経BizGate : 強さとは信頼、「ゲーム道」究める
【http://bizgate.nikkei.co.jp/article/134241319.html】

東大卒プロゲーマーで有名なときど氏(格ゲープレイヤーwiki)が予防医学者の石川善樹氏と対談する企画です。空手を始めたときどさんがその精神をゲームプレイに取り入れている話です。詳しくは記事を読んでいただきたい。
これ読んで、また格ゲーに関する新しい考え方が出てきたなぁ、と感心しました。そもそもスポーツと商業性というのは対立軸にあるものではないはずなんですが、こういう第3軸が出てくることで、それにやっと気づかされたというか。最近e-sportsという言葉がやや先行して対戦ゲームについてまわっているので、スポーツか否か!みたいな二元論から脱出できてなかったような。日本特有(かどうか厳密には知りませんが)の競技と精神論を合わせたような考え方、道、これいいなぁ。もしいいすぽ!とかTVにときどさん出ることがあれば、東大卒プロゲーマー より ゲーム道の提唱者 の方がかっこよくありません?ときど道場作りましょう!道場経営すればマネタイズもできますし!そもそもトレモのコンボ練習 とか 空手の型 と同じじゃないですか!?
と、妄想はさておき、いろんな考え方がいろんな方面から出るのは望ましいのかな、と。格ゲーを取りまく環境はいろいろ変わってきています。最新作がゲーセンに無かったり、逆に家庭用で出てからアーケードに移植される予定になったり、プロゲーミングチームができてこれだけ多くの人間がプロとして世界を飛びまわって大会に出場しています。数年前にこの現状を予測できなかったように、今から数年後のことは誰にも予測できないでしょう。願わくば、格闘ゲーマーたちの熱がこもった素晴らしい試合を見れる環境が続きますように。

余談ですが、『咲』で、麻雀のプロがどんな状況なのかすごい気になります。現実より麻雀が流行ってる世界線での出来事なので、格ゲーが今後流行ったとしたら、どうなるかみたいな補助線にならないかなぁと。『喰いしん坊』も、大食いが流行ってる世界線なのですが、そういう設定は練り込まれていない気がします。小林立先生のことだから、そこらへんは異様に細かく考えてそう。咲プロ編も楽しみにしてます。あと格ゲーのグラゼニ。





One comment to “格闘ゲームは競技か興行か、はたまた道か”
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