番組感想/プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル





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『シン・エヴァンゲリオン劇場版』がネット上を席巻し続ける中、3月22日19:30から『プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル』が放送されました。エヴァンゲリオンが終わる、4年もの独占密着、巨匠・宮崎駿をして「庵野は血を流しながら映画を作る」、これらが意味するものとは、、。

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「命より作品」この台詞が、こんなに違和感ない人間が他にいるでしょうか。庵野監督は、命を削り、すべてを差し出し、引き換えに作品を作ります。9カ月かけて作ったパートを脚本からやり直す。セットを組み、役者に何度も演じてもらったプリヴィズに満足しない。これがダメだというのが分かった。そういってひとつひとつ潰して、やり直して、削って削って、なんとか作っていきます。そしてそれに従うスタッフたち。庵野監督の作り方に慣れた百戦錬磨のスタッフたち、、、と思いきや、彼らも混乱しています。プロフェッショナルの密着スタッフに「俺なんかより、周りのスタッフが困っているところ、撮らないとだめだよ」なんて声をかける庵野監督の言う通り、スタッフたちの顔に、庵野監督の仕事は表れていました。表情の変わりにくい庵野監督より、鶴巻監督の困った顔が、絵として印象に残ります。庵野監督がAパートやり直すと言った時、プリヴィズが全く採用されない時、Dパートの脚本が思いつかないと言われた時、鶴巻監督に刻まれた皺が深まっていくのがわかります。また、山下いくとさんが、なぜ庵野監督と一緒に仕事しているのか聞かれて、うまく答えられないシーンもいい味を出しています。なんかうまく言えないけど、一緒に仕事をしたくなる。そういう人たらしなところも監督の魅力なのでしょう。安野モヨコさんが「(庵野は)自分が可愛いと思ってる」なんて指摘するのも、面白い一面に見えました。

作品に全部を捧げている庵野監督に、それでもついていくスタッフたち。最後には、試写会で涙を流し、庵野監督に「よかったです」と笑顔で伝えます。しかし、庵野監督はもう次の仕事に取り掛かっている。作品にすべてを捧げた狂気の人庵野秀明と、それに付き従うスタッフたち。エヴァンゲリオンという傑作の制作現場を余すところなく収めた、奇跡の映像です。

庵野監督は、この番組に”プロフェッショナル”とついているのが好きではない、と漏らします。たしかに彼の創り方はプロというよりアマチュアな印象を受けます。プラン通りに進行しないどころか、プランをたてることを拒否し、行ったり来たりやり直しの繰り返し。スタッフ、時間、予算、自分。面白い作品のためならすべてを犠牲にする。作品至上主義、アマチュアリズムの権化、いくらでも言うことはできます。しかし、これだけ作品に打ち込める予算を確保し、スタッフを集め、旧権利者ガイナックスとのいざこざも対応し、すべての体制を作ったのも庵野監督であります。面白い作品をつくるためのプロフェッショナル、そういう括りであれば、庵野監督ほどのプロもいないのかも知れません。それでも彼は嫌がると思いますが笑





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