映画感想/少女は卒業しない





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朝井リョウの青春小説を映画化『少女は卒業しない』です。個人的に「卒業」をテーマにした作品が大好きなので、原作知らないままに見に行きました。さらにオムニバスな群像劇も好きなので、前情報はど真ん中好みの作品なので楽しみ。というか、こんな好みの作品知ってたら読んでてたわ。

 

山城まなみ。彼氏に弁当を作り隠れて料理室で会っている。卒業生代表として答辞を読む。料理部部長でしっかりとした性格だが、、。

ショートカットの美人さん。群像劇の話に筋を一本通すポジション。答辞を読むシーンは迫真の演技だった。時間軸や謎のトリックがあっていまいち話に集中できない気がしたけど、彼氏との料理室のやりとりは微笑ましくて、一番青春恋愛映画してた。

 

後藤由貴。バスケ部。夢いっぱいに東京の大学に進学する。明るい性格だが、悩みがあり、、。

彼氏とのすれ違い。テーマは、”よりを戻す”ではなく”ちゃんとした別れ”であることがだんだんわかってくるのが辛い。彼氏サイドの気持ちが解かりにくいのと、親友がガイド役として機能し過ぎてる分、由貴本人の行動原理がはっきりしなくてうずうずする。花火買い出したあたりで「ラストは卒業ライブの音楽と、盛大な打ち上げ花火なんだろうなー」と思ってしまったが、それよりしっとりと上品な絵作りで、浅い考えの自分を恥じた。花火シーン見逃したか?ってくらいあっさりしてて、でもそれが彼女と彼の最後なんだなと思うとしっくりきた。最後、床屋のシーンでお互い振り返るタイミングが合わない感じは、もう。

 

神田杏子。軽音部部長。卒業ライブ直前で様々なトラブルが発生し、、。

トラブル続出でもどこか自信ありげで、姉御気質だと思っていたけど、実は一番やべぇ女。この作品4人が4人とも恋愛が絡んでるとは思わなかったので、ここだけは「卒業間際のトラブル」みたいなのがテーマだと思ってた。ラストも、ライブ失敗コメディみたいなオチも全然あると思ってた。一番秘めたる想いをもって行動してて歴が長いだけ重い女。中学時代のエピソードも見たいわ。卒業後に想い人の居場所も特定してるので適度に押し掛けそう。軽音部の後輩もいい味だしてて、後半の巻き返し方も含めて一番好きな話かも。

 

作田詩織。クラスに馴染めず図書室に通う文学少女。卒業式後、クラスでどう過ごせばいいか悩むが、、。

図書室の坂口先生に思いを寄せる。コミュ障の演技が上手い!感情を込めないしゃべり方みたいなのがうまくてやばかった。坂口先生の造形も良くて、作田の気持ちをわかってやってるのかどうか微妙な塩梅が良い。意外と天然なのかもしれないけど。教室での最後は、クラスメイトって、特別仲良くなくても話せるし、いじわるな言い方すれば卒業という特別な空気感では、仲良かったような錯覚覚えたりするよなぁ。学校楽しそうでもない彼女が最後に「卒業したくない」と言ったのは、先生に会えなくなるからだけではないし、そういう力が学校、とりわけ高校にはあるよなぁ。中学や大学にはない何かがある。

 

最初、どういう方向性なのかわからないし、学生ノリが恥ずかしくて、耳をふさぎたくなったけど、中盤以降グッと引き込まれました。卒業、別れ、恋愛みたいなテーマで見たいものが全部つぎ込まれていて、オムニバス的な作りはこういうのがコスパ良くていいよなぁ。時間的制約がある映画にこれだけつぎ込むのはこういう手法じゃないと難しい。原作は4人の他にもエピソードがありそうなので楽しみです。「卒業」オタクにとって非常に良い映画でした。

 

 

 

チラシ裏のコーナー
他三人が明確な”別れ”である中、自分の想い人を見せびらかしてこれからもありそうな示唆する神田部長はやべぇ女だよ。

 





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