感情の爆発する、軽音部とはこうだ!!という決定版になる一冊
ふつうだから起こるありふれた青春群像劇『ふつうの軽音部』5巻が発売されました。第40話「片鱗を示す」から48話「問いを抱える」と番外編を収録。表紙はいい顔で歌うたまき先輩。
文化祭も最終盤、後夜祭の軽音部3年引退ライブ。いまは堂々と部長しているたまきだが、彼女も過去にいろいろあっていまここに居る。自分のせいで友人を追い詰めてしまったかもしれない。
「大好きでした!!3年間ありがとうございました!!」からの銀杏BOYZで、いろんな思い出をバックに「さようなら美しき傷だらけの青春に」と歌うたまき先輩かっこいい。そのあとの夏帆の独白で「しんどいことから逃げたあたし」のところに、夏帆とたまきのバンドメンバーが居るのが渋い。ハトノはたまきの引退ライブを見て、後夜祭で引退ライブ、この舞台に立つのが目標とはっきり決意したし、時期部長の亀屋数志、そしてたまきに救われた鶴も泣いており、これからを誓う流れになっている演出が憎い。偉大な3年の引退が部活動としての大きな区切りであるし、その3年生のいままでを改めてピックアップすることで、彼女の解像度が爆上がりした状態で読者は感情移入できた。
新体制でのバンド代表者会議が始まる。バンド練習の割り当てなど早くも揉めつつあり、部長を裏から鶴副部長が操ってる感じになってる。そして、鷹見がハトノに勝負をしけけてくる。勝ったらなんでも一つ質問に答えてもらうという賭けで。鷹見はハトノに兄と同じように「なんでバンドやろうとおもったのか?」を問いたいのだろうか?
同じくジャンプ+で人気の『2.5次元の誘惑』でもコスプレというテーマでも、キャラひとりひとりがコスプレをする理由は様々で、逆に言えば一人も理由が被ってないのに、集まって同じことに熱中できる分厚さ、すごさみたいなものを感じていたんですが、本作でも今回はたまき先輩のなんでベンドやってるのか?が描かれて、その目的が果たされたか?楽しかったか?まで読者に届けられた気がする。鷹見が、ハトノになんでバンドやってるのか聞きたいように、なんで集まってこんなめんどくさくて大変なことやってるのか聞きたいし、それで自分も納得して成仏したいような気がするのは非常に理解できる。
●内田さんが用意するハロウィン衣装めっちゃ気になる。
●自分は使われてる楽曲そのものはあまり知らず、思い入れがないんだけど、これ知ってる人にとってはたまらないんだろうなっていう使われ方していて、そのポイントを楽しめないのはちょっと残念。