漫画感想/火花 上・下(武富健治・又吉直樹)





 

漫才師という業を背負った男の物語
衝撃のコミカライズ

 

あの芥川賞受賞作を武富健治がコミカライズ。話題騒然の『火花』が上下巻同時発売されました。

又吉さんの指名で武富先生がコミカライズを担当しただけあって、内容と作画の相性が良いです。火花のような独白が多い小説を漫画に翻訳するというのは、一から創作する以上に困難を極めると思いますが、そこは流石武富先生ですね。“名前の付けられない感情”を表現する絵の持つチカラでしっかり描かれています。

主人公の徳永の視点が、おそらく又吉さんなんだろうなぁと思わせるシーンが多いです。冷徹に客観的な観察力で先輩神谷をとらえていきます。先輩神谷はいろんな先輩芸人をブレンドしたと対談で述べていますが、彼もまた結局又吉さん本人が一番色濃く出ているような気がします。「お笑いと小説、表現みたいなこと以外なにもできない」と自分を評する又吉さん。神谷には、自分の理想と、もし売れなくても理解されなくても漫才師であること以外の道がない辛さのようなものが入り混じった複雑な存在として想いが込められているのでしょう。

一番印象に残っているのは、第23,24話の『ラスト・スパークス』です。解散することになったスパークスの二人。最後のネタのチョイス、内容、お客の反応、自分たちの想い、すべてが混ざりあって最高に心をかきむしられます。『適当に死ね』自分なりに懸命に生きた。漫才師として命を燃やして生きたラストの言葉。本当に胸に突き刺さります。

個人的には、神谷のひりつくような生き方、ストイックすぎる笑いに対する追求心には、尊敬より畏怖、怖いという気持ちが先に出てしまいます。すべてを気にせず、周りも世間ともかけ離れて面白くなりたいと願い、そしてだからこそおもろなくなっていく、、、。誰に対して面白いのか、だれが面白がってくれたらよいのかすらわからなくなっていくほどに向こう見ずな神谷。彼を観察し、自分は天才になれないと悟る徳永。2人はまだ途中。続きを見たくなるのは私だけでしょうか。

 

 

 

 

 

チラシ裏のコーナー
こりゃあ偉いもん読んでしまった。原作小説の方も読むし、又吉作品全部読みたくなってしまう作品だよなぁ。

 

 





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