【漫画感想】姉の結婚 8巻(西 炯子)





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 姉の結婚 8 (フラワーコミックスアルファ)  
2010年10月から4年間月刊フラワーズで連載された「姉の結婚」最終巻が発売されました。
非常に多作な西炯子先生ですが、ここ数年の中で一番の大作ではないでしょうか。
 アラフォー世代の純愛ストーリー、完結!
 離婚が成立した真木誠から正式に結婚を申し込まれた岩谷ヨリ。
 だが、離島での開業準備を進める真木に、
 一度はあきらめたはずのドイツ留学の話が舞い込んできた。
 再びの別れとすれ違い。その末にヨリが選んだものとは・・・!?
 不器用で純粋な大人のラブストーリー、愛と感動の最終巻!

ストーリーの骨子である明らかになっている大問題
(本作だとヨリと誠の結婚の行方)がラスト手前で解決しちゃう展開というのは
個人的にすごくドキッとします。
漫画でもアニメでも、「この巻で終わり」「あと2話で終わり」とかいうのは
物語を見る前からわかってしまうので、どうしても残り時間を逆算して
展開を察してしまうことがあるのですが、
少し前でそれをやられると、「おっ!ここからどうなるんだ!!!」
と読みを外される感じがあってスリリングなんですね。
ハッピーエンドが明示されているものではない場合
ラストがわかんなくなるので、特に。
この作品は「結婚する」ことがハッピーエンドではなく
「結婚について考える」ことが重要なファクターになっています。
友人や自分の親の結婚について触れてきて、
自分について改めて考える。
物語初期では「結婚・恋愛はもうしない」と思考停止状態にとどめていたヨリも
誠や他の人との出会いによって考えが変わっていく。
ドラマではよくありそうな展開ですが、
漫画でやるとなると、心理描写の巧さだけでなく
絵的な力も必要になり、なかなか難しい展開です。
実力がない漫画家さんだとどうしても
物足りない感じになりがちです。
それをベテランらしい確かな描写力と
嫌らしくない上品な画力、
ところどころに表れるセンスのあるコミカルな会話。
どれが足りなくても、面白い作品にはならないとても難しい物語です。
非常に高いレベルでまとめられている
男性にも読んでほしい女性向け作品です。
【余談】
女性誌で描かれる作品は、
「恋愛と結婚」の描かれ方や根底に流れる思想が
男性誌と全く違うので興味深いです。
少年誌や男性誌では「結婚」はゴールであり、
ハッピーエンドのひとつとしてしか使われません。
幸せの形としての記号的使われ方です。
マリッジブルーという言葉がある通り
女性にとって結婚は幸せである一方、
悩みであり選択肢であり
これからの生き方を左右する
大事な通過点である。
現実では当たり前なことですが、
どうしても男性向け漫画のお約束の中に
浸っていると忘れがちな感覚です。
男性向け、女性向けに関わらず
いろんなジャンルの漫画を読んでいきたいですね。





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