漫画感想/エロスの種子 3巻(もんでんあきこ)





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もんでんあきこが描くエロスが紡ぐ物語『エロスの種子』3巻が発売されました。今回も珠玉の5編が収録されています。どれも現代ではない、当時の空気を感じます。その空気感とエロスがマッチしてえも言われぬ読後感を味わいました。

 

第九話「中指」

昭和20年ラバウル、戦死した仲間の中指をもって帰還する菅原。亡くなった仲間を待ち続けていた未亡人に中指を届ける。自分と同じ”居場所を失った”境遇を感じ、二人を体を重ねる。

この話のヒロイン鈴子の妖艶たるや、とても魅力的です。その生きざまが顔に出る、それだけの凄味がある。単行本最初から一杯食わされる話ですが、鈴子の存在感が強く後味が悪くないエピソードに仕上がっています。

 

第十話「罪と罰」第十一話「縄の行方」

昭和56年横浜拘置所、昭島薫と国選弁護人椎名順子は再会した。昭島薫は彼の生い立ちを語り始めた。彼の罪と罰の物語。

昭島薫は本作では珍しいタイプの男性キャラです。この時代の男性的な男性ではなく、どこか危なげでセクシーな魅力を持った人物として表現されています。

 

第十二話「吐息」第十三話「反抗期」

バブル経済絶頂期、山田拓は貧乏学生だった。家業を継ぐため急遽、バイトも大学も辞めて実家に帰ることになるが、、。

このエピソードとても気に入っています。「エロスの種子」を代表するような話で、時代性とエロスの組み合わせ、ヒロイン武藤さつきの造形といい、非常に完成度が高い!!未読の方にも、これだけでも読んでほしいですね。

 

 





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