ネット麻雀で日本一になった男 朝倉康心の戦術書『麻雀の失敗学』です。タイトルに”ミスから生まれた~”とついているように、Mリーグの試合を振り返った18の失敗例と、その他コラムなどが収録されています。
最初の失敗例は、11月12日第一試合。当時リアルタイムに見ていた人なら、あの時の朝倉さんの表情が記憶に残っていることと思います。難しい選択の繰り返しに、裏目に次ぐ裏目。見ていたファンとしては「うわー、ついてねー」と叫んだものですが、朝倉選手としては、運ではなく自らの選択に反省すべき点があったと感じているようです。きれなかった3ソウは“結果論や精神論やもちろんオカルト的な話ではなく、100%ではないにせよ読みによって通せる、通しやすくなる牌”と述べ、その理由がしっかり詳細に示されています。”取り戻せないミスをしないために日々の練習を”と章タイトルにつけた、泣くほど悔しい2位。これを最初に持ってきたことで、この本がどういう本なのかわかります。これからこういうことをあと17例も紹介するのだと。自分のミスをさらけ出し、反省する、そういう1冊なのだと。
自分は麻雀初心者なので、失敗学本編をしっかり読み込むのはいまから時間をかけて取り組もうと思っています。朝倉選手が試合中に間違えたような選択です。本編は中級者以上向けかなと感じました。
失敗学本編以外のコラムなどは気楽に楽しめます。「勝手なMリーガー紹介」は彼視点でMリーガーを紹介していて、本編と全然違うラフな文章に笑ってしまいました。麻雀以外の失敗学、解説やTwitterの話も面白いです。Twitterは本人悪くないと思いましたが、それでも精査して反省してるのが彼らしい。ブリの件はデジタルのせいにするな笑。
中、上級者は戦術書として学びがあるでしょう。朝倉選手視点で2018年のMリーグをまとめたものとしても読めるでしょう。一方、初心者やライトなMリーグ・朝倉選手のファンは(細かい戦術はともかく)彼の熱量を感じる文章で楽しめる内容となっています。彼が悔やむポイント、麻雀に対する姿勢など朝倉康心という人間がにじみ出たテキストで、ファンアイテムとしても非常におススメです。
そして多くの失敗学の最後に、成功学がある。自らをメンヘラと言い、精神的な弱さを自負する彼が、最後に成功学を持ってきた。常に過去と向き合い、研鑽することが大事だという想い。「好手を生むのは、過去の地道な思考」研鑽を重ねた彼はきっと一期以上に来期のパイレーツを引っ張る存在として活躍してくれるでしょう。