ジャンプから飛び出した魂 ついに完結!
週刊少年ジャンプ本誌で最終回詐欺を繰り返したのち、ジャンプGIGAに移籍、それでも終わらず、専用アプリ掲載でついに完結した『銀魂』最終77巻が発売されました。第六百九十六訓「安酒」から第七百四訓「天然パーマにロクな奴はいない」まで収録。いつもの隙間ページの空知先生手書きメッセージもあり、前後にはカラー見開きページも収録されています。普通のジャンプコミックスの1.5倍くらいの厚さです。
読んでも読んでも銀魂。銀魂らしさがぎっしり詰まった1冊です。真面目だけどふざけていて、緩いのに熱い。二転三転する展開とギャグの繰り返し。ポエムと紙一重のくさい、熱いセリフもこの作品だから全然受け入れられる。これだけ長く熱く駆け抜けたキャラクターたちだからこそ俺たちも感じ取れるものがある。
ジャンプ本誌の最終回となった第六百九十八訓「最終回を超えて行け」では、過去ジャンプで最高の最終回を飾ったあの作品をネタにします。銀魂最終回がニュースに取り上げられたことすらネタにして、でもやっぱり終わりませんでしたという投げっぷり。これが許されるのも銀魂という作品が持った人徳でしょう。ラストページの作画が荒れてるのすら面白い有様です。
ジャンプGIGA初回の第六百九十九訓「坂田銀時と仲間たち」では、ジャンプの大先輩ドラゴンボールパロを堂々と開始。線がいつも以上に生き生きとしているのは気のせいではないはず。隙間ページで述べている“週刊連載の目まぐるしい日々の中で忘れかけていた気持ち、ただ好きだから漫画を描いていた名もない新人だった頃の気持ち”で描いたのがこれかよ!最高だよあんた!ジャンプGIGAに来て”目障りな海賊もいねェ”、”売れない新人どもに見せつけてやろう”というモチベーションで漫画描いてるのか。しかし長すぎて読者も忘れかけてたあらすじ説明を、ドラゴンボール次回予告パロでしっかりこなす技術はすごいと思いました。
戦闘中、崩落する建物や瓦礫ばかりで作画大変だっただろうなと思います。星芒教モブから江戸の人々まで、登場人物も多く、作画カロリーやばそう。キャラクターを紡ぐ線は、お世辞にも洗練されてるとは言えないんですが、それが彼らの動きや熱量を表しているようで、非常に銀魂らしい。なんだかんだで最終単行本なんだから、連載で微妙だったとこ描き直されているかなと思ったけど結構そのままですね。汚いながらもしぶとく生きる人物を描く、躍動する線が息づいています。