漫画感想/狭い世界のアイデンティティー 4巻(押切蓮介)





漫画家同士の殴り合い。謎のハイテンションバトル漫画『狭い世界のアイデンティティー』4巻です。

最初っからクライマックス、藤田和日郎との殴り合いです。漫画が好きで好きで、漫画キ●●●と呼ばれ、修正液が乾く暇も待てないくらい線を足すことに喜びを感じている、素晴らしい漫画に身を捧げ、漫画そのものになりたい。自らの本質をそう語る藤田和日郎。口調もちょっと本物の藤田先生と似せているのか、いやな迫力があります。富士鷹ジュビロではなく、藤田和日郎の名前をだして、これをやる押切先生、覚悟がすごい。

他にも実名で漫画家が登場します。浅野いにお、清野とおる、押見修造、新田章、水上悟志。代表作の名前もだし、全く逃げ場のない、本人ご登場です。漫画家を拉致し、無理やり漫画を描かせる行為、そんなの漫画のような話だと思いますが(実際『コミックマスターJ』で同様のネタがあった)、重版や裁断処理のような現実でも直面しているネタを織り交ぜてあるので、ちょっと信じそうというか、気持ちが混ざるような変な気分にさせられます。そもそも漫画家同士が殴り合っているはずないのに。

実名の漫画家同士がdisったり殴り合ったりするという荒唐無稽な描写で、漫画業界、出版業界のリアルな問題を取り上げる、非常に不思議な混ぜ方をしている本作。どこまで過激に、どこまでリアルに描かれるのかわからなくなりますが、その境界線があいまいとした状態で楽しむのが良いのかもしれません。





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