ジャンプルーキーで話題になり最速で連載を勝ち取った『ゲーミングお嬢様』、ついに待望の連載版1話がジャンプ+にて配信されました。格ゲーマーに刺さるワードが散りばめられている本作、最近のe-sports的なネタはもちろん、古き良きゲーセンスラングも飛び交う素敵空間になっております。すでにコメント欄には「ゲームの専門用語が多すぎる」「身内ノリ」という真っ当な正論が溢れています。ここは、古参ベガ立ち勢の私が格ゲー用語を解説させていただきますわ!
なお、ルーキー版1話を元にして連載版1話も作られているようなので、解説も8割方同じです。ルーキー版を加筆修正した感じです。2話以降にご期待ください。
タイトルロゴ
「ストリートファイターV」ロゴのパロディ。連載発表時のロゴはちょいダサかったのでよかった。
祥龍院隆子(キャラ)
ストリートファイターシリーズの主人公「リュウ(隆)」とその代名詞的必殺技「昇竜拳」から。名前だけで主人公だとわかる。あと「院」がついてるとお嬢様だとわかる。
お下品なリバサ擦り(セリフ)
キャラの硬直が終わった瞬間に行動することを「リバーサル」という。特に起き上がり時を指すことが多い。《使用例:リバサ昇竜、リバサバクステ》また、同じ行動を繰り返すことを「擦る」という。《使用例:ザンギは中パン擦ればいいよ、ふ~どは一生ラーメン擦ってる》起き上がり時は不利なことが多く、その状態から攻撃をしてくることはかなりお下品。しかし起き攻め側からするとかなりウザい。「マスを擦る」と擦るを重ねることで、お嬢様の怒りを2倍に感じることができる味わい深い表現。
台パン(用語)
台、ここではアーケードコントローラーのこと、をパンパン叩く行動。ゲーマーが純粋な怒りを表現するときに発動される。ゲーマー本人は発動をコントロールできないので、本人を責めないでほしい。対戦相手が悪い。
リバサコマ投げを恐れて(セリフ)
最近は1Fコマ投げも減ったので、”しっかり重ね”れば負けることも少ない。しかしザンギのCAなど、食らったら死が見えるリスクがあるので、つい恐れてしまう。投げキャラが嫌われる原因その1。
そんなことは理解っていらしてよ 問題なのは精神面の話であってな(セリフ)
格ゲーはメンタル大事。理解していてもその通り行動できないこともある。《例:投げor打撃の択で投げは捨てるべきなのに怖くて投げ抜け入力してしまう》
台風みたいなザンギ(セリフ)
グルグル回しているだけのコマ投げ一辺倒、という意味と、自らの意図に関わらず遭遇してしまう自然災害という意味のダブルミーニング(両対応)表現。初心者がやっても雑に強い。投げキャラが嫌われる原因その2。格ゲー初心者をゲオらせる原因にもなっている。
見ているだけでレートが上がっていきそう(セリフ・用語)
レート:PUBGなど対戦ゲームで自分の強さを示す数字。見ているだけでレートが上がることは絶対ないのだが、それほどまでにご利益がありそうな様子を指している。
前歩きだけでこの圧倒的存在感!!(セリフ)
「前歩き」は、前に移動(not走り、ダッシュ)すること。普通はそれだけで存在感を示すのは難しい。現実世界のゲーマーでそれができるのはウメハラくらい。他のゲーマーが歩けないところで歩く。《類語:ウメ散歩》
“圧”(セリフ・用語)
強い様子、凄味がある様子を表す様。「今夜勝ちたい」で有名なゴジラインでよく使われる。《使用例:このラーメン、”圧”あるな。》
全一(用語)
キャラ名や地域名をつけて「〇〇全一」で、〇〇で一番強いという意味。《例:ダルシム全一は島根に居る、鬼金棒全一》ここで出てくる「1年全一」は一年生の中で一番強い、という意味。ザンギが一番って一年生にダルシム使いはいないのか。
二回堂転子(キャラ)
投げキャラの超必殺技コマンド「二回転」が由来。格ゲーマーはこの名前だけで投げキャラ使いだと、理屈ではなく心で理解することができる。
10先勝負(用語)
格闘ゲームの勝敗のつけ方のひとつ。10試合先に勝った方が勝ち。一般的なトーナメントでは2先、3先が多く、30分~1時間かかる長丁場の10先で勝敗を決めることは、勝利者と敗北者を完全に位置づけることになる。格ゲーマーはこういうのが好き。《類語:格付け》作品内では「ゲーマーの一般的な儀式のひとつ」と解説されているが、ここでいう「ゲーマー」や「一般的」の意味が、我々現実世界のそれの持つ意味より強度が高いことは付け加えておきたい。
設定で乱入拒否(セリフ)
そういう設定にできる格ゲー(アーケード)もあった。初心者やCPUエンジョイ勢向けだがあまり流行らなかった。ゲーマーは対戦しに来ているので「そんな設定にしないわ」という嘲りを含んでいる。
実況者の手配とベガ立ちの準備(セリフ・用語)
ベガ立ち:ゲーセンで対戦筐体の後ろに立って解説する人は手を組みがちで、そのポーズがストリートファイター2のラスボス「ベガ」の立ち方に似ているところから。自分では格ゲーをプレイしない(うまくない)のに解説する人を揶揄する意味合いがある。
格ゲーの凄さを伝えるのに”実況”と”解説”はとても大事。本来「実況者と解説者の手配」とするところを、「実況者とベガ立ち」にするところにモブお嬢様のセンスを感じる。あと、ベガ立ちに準備は必要ない。
賭けるのは誇り!名声!品格!そして”お嬢様力”(セリフ)
今では賞金が賭けられている勝負も増えたが、昔は「俺はお前より強い」という誇りしかなかった。「”お嬢様力”の高さは10先でのみ証明される」とあるので、2先、3先が主流のトーナメントで優勝するのは証明にならない模様。
酸素スプレー(用語)
EVO壇上でMOVが使った秘策。緊張で呼吸が乱れたり、酸素が足りないのを緩和する。あらゆる策を用いてでも自分のコンディションを整えて相手を倒すのが礼儀であるという気持ちが形になったもの。
洗練された人対と徹底されたキャラ対(セリフ)
「人対策」と「キャラ対策」の略。プレイヤーやキャラごとに弱点、手癖などを勉強し、戦略の肝とするやり方。《例:ウメハラは開幕波動うつから飛ぶ、ネモさんはラシード嫌いなのにキャラ対はしてるから偉い。》逆に、これをメインで立ち回ると、対策ずらし(対策されていることを知って、いつもと違う行動をとる)された時に辛い。格ゲーの強さの大事な一要素であるが、対策を戦略のよりどころにせず、基礎的な戦闘力を上げる王道なやり方の方がトーナメントやランクマの勝率は安定する。しかし対戦相手・キャラが決まっている長期戦(7先・10先)の場合は、深い対策が必要となる。
ストリートファイターV アーケードエディション(用語)
ルーキー版にはなかったが、筐体にロゴが登場。カプコンから正式にこのゲームを取り扱う許可を得たのだろう。実際にある対戦格闘ゲームなのでみんなプレイしよう!!ここにあるのはVEWLIX筐体に入ったアーケード版(ゲーセン版)、おうちではPS4版とSTEAM版(PC版)があるよ。様々なDLコンテンツや新キャラも含まれたチャンピオンエディション(PS4版)は現在3000~4000円くらいで買えます。
隆子様リュウ(セリフ・用語)
実況はプレイヤー名+キャラ名でコールすることが多い。「隆子様のリュウ」というより”の”を省くことができるのでテンポが良くなる。
スト5のリュウ。《例:ウメちゃんリュウ使って~》飛び道具、対空技を持つスタンダードなキャラ。このマッチアップでは、飛び道具の存在が大きなカギとなる。ルーキー版だと○ュウだったのに、伏字なしになった。流石ジャンプ+だ。
ザンギエフ(用語)
スト5のザンギエフ。投げキャラ代表。スト4ではバニシングフラット(必殺技)とセービングアタック(共通システム)という飛び道具対策の技があったが、スト5にはない。キチパが見てからダブラリしてるけど、あれをすべてのザンギ使いに求めるの?よって飛び道具使いとのマッチアップは立ち回りで完封されることが多く、少ないチャンスをVトリとEXスクリューからの起き攻めに賭けることになる。《例:ザンギエフを使うと人生の時間を無駄にする》
寸暇を惜しんで貴方のリプレイを~(セリフ)
ルーキー版は「寝る間も惜しまず」だった。
スト5は相手のIDがわかればネット対戦のリプレイを見ることができる。そのため時間さえあれば徹底的に人対(人対策:その人の癖などを見つけたり、動きを覚える対策)することができる。不特定多数とあたるトーナメントならいざ知らず、自分から10先勝負吹っ掛けた側が人対してないわけがない。逆に、対策されないようにIDを隠したり、別アカウントで練習する方法もあるが、お嬢様の品格がそれを許さないだろう。
強キャラ弱体化要望ロビー活動(セリフ)
メーカーはユーザーの意見を吸い上げてゲーム調整してくれるので意見を上げることは大事。一方、偏った意見や自分の利益のために強く物申すユーザーもいるので、その意見が本当に事実が見分ける力がメーカーに求められている。現在ではネット対戦での使用率勝率など明らかなデータが残るので、どちらが大切かは難しいところ。通称:政治。《例:政治抜きでキャラランクつくろうぜ!!》
距離を詰められてからの手癖の中脚置きに、、(セリフ)
近づかれたらいやな相手にはリーチの長い技を振りがち。しゃがみ中キックを”置い”ておくことでザンギに近づけられないようにする。中脚はガードされても大丈夫で、作中のような一点読みされない限りリスクの少ない行動。ランクマでザンギはそんなに多いわけではないので、この手癖を見つけるために、自分も別IDで入ったり、別のザンギお嬢様をけしかけたりしてそう。
やりこみ(用語)
攻略、練習などが凄まじい様。《例:ふ~どはラーメンはやりこんでる》努力の量を表す言葉で、ときどがよく言う「取り組み方」はこれに精神論・生き様も加えた概念。
ワンチャン(用語)
ワンチャンスの略。もしかしたらいけるかもしれない、ということでワンチャンと言われている時点で実は相当に不利である。「ワンチャンあるよ!」ってヤジられるときはたいてい”ない”。このお嬢様対決も下馬評は、隆子様圧倒的有利なのだろう。
やってない(やった) (セリフ)
意図していない技、特にリスクが大きい行動を外した時に格ゲーマーから発せられるセリフ。《例:割り込み昇竜をガードされて「やってない」》
downloaded(完全に理解した) (セリフ)
downloaded:相手を把握した。EVO決勝インフィルトレーションの言葉が元ネタ。これで実際勝つのだからかっこいい。
本作のこれは(完全に理解した)の部分が、理解してないギャグに見えて、どっちだよ!!というツッコミ待ちにも見える。
立ち回りはこちらが不利 「手繰り寄せる」立場(セリフ)
波動拳・昇竜拳を使った守りが強く、ザンギは近づけない展開になりやすい。先ほどの一点読みスーパーアーマーのような無茶な行動を意識的にやって、”手繰り寄せ”なければ勝利は得られない。
“噛み合った”だけの試合(セリフ)
格ゲーで手痛く負けた時、現実をみたくないときに言うセリフ。
触れば勝てることは証明した、そう、触れば勝てますのよ(セリフ)
投げキャラ使いはみんなそう言うが、それをさせないのが相手の仕事。逆に投げキャラ(近距離強い)が簡単に触れる技を持っているとクソお排泄物キャラ認定されることも多い。
一試合目のような展開が起きれば多少なりとも動揺の色が~(セリフ)
一試合目1ラウンド目ではザンギの攻めが通った。読み負けた展開が一度でもあると、それが頭によぎって冷静に、普段通りのプレイが出来ないことが多い。ザンギはそれを見越して、10先という長い勝負の最初に無茶な攻めを仕掛けてきたが、格上のリュウには通じなかった。
ブチギレてんに決まってんですわよ(セリフ)
格ゲープレイ中に、一周して冷静になることはよくある。格ゲーはほんとメンタル大事。
1R(ラウンド)目のファッキン一点読み(用語)
一点読みは通した側は最高に気持ちいいが、通された側は最高にブチのギィーレになる。
青写真(用語)
「青写真を描く」という普通の慣用句だったのだが、格ゲー実況の第一人者アールさんが使ったことで、格ゲーキッズ大好きワードになってしまった。いってみましょう!や一閃、などと同様かなり雑に使われる。本人は言ってないのに周りが作り上げたワード「青写真一閃!!!!!!」はあまりにも有名。
“わからせる”(用語)
お嬢様的に言うと、理解させてさしあげる、だが、”わからせる”で一つの格ゲー用語になっているのでそのまま使われたと思われる。一体何をわからせているのかというと「俺がお前より強いことをわからせる」「格が違うということを理解させる」ことである。普通に勝っただけでは、本当に強いかはわからないことがある。ここでは体力的アドバンテージがあり、リスクが大きい昇竜拳をうつ必要がないにもかかわらず「お前の行動はお見通しなんですわ」ということを伝えるためだけに昇竜拳をうった。
0-10(用語)
10先でつけられる最高の屈辱。よほどの実力差がないと1本も取れずに10本とられることはない。現実の格ゲー史で配信に残っている有名なのは、MAD CatsアンベイルドのウメハラXianや年末マゴネモ。
最後の手段”リアルファイト”(用語)
古のゲーセンではよくあった。冗談ではなくマジで。対戦で勝つと対戦台の向こうから怖いお兄ちゃんがやってくる可能性とも戦わねばゲーセンで格ゲーはできなかった。《類語:灰皿ソニック》
ゲーマーの10人のうち15人がジムに通う時代(セリフ)
海外大会連戦は本当に体力が必要&ゲーマーのおじ化が進んだため、ジムで運動するゲーマーは増えた。今年はコロナの影響で海外大会がなくなったので、みんなサボってる。
鉄山靠(用語)
中国拳法、八極拳の代表的な技。格ゲーではバーチャファイターのアキラが有名。
ガードさせても有利フレーム!?(セリフ)
ストリートファイターユンの弱鉄山靠は反撃を受けにくく強いがそれでも-3F。ストリートファイターの突進技はガードされたら基本不利。地上戦メインの格ゲーで突進技のリスクなかったらヤバイので不利。空中ダッシュ、超早いダッシュが存在するギルティギアには、ガード時有利な突進技は割とある。
(攻撃判定)(用語)
虎撲子のようなモーションの技。魔法のような強い判定があり、とにかく強い。ストリートファイターでは攻撃判定は四角い箱のようなもので表現される。もちろん対戦中には見えないが、攻略本などで見るうちに対戦中でもイメージできるようになる。手や脚のグラフィックが当たっていなくても攻撃判定が当たっていれば当たっていることになる。
男なら 光の速さで 連コイン(セリフ)
ギルティギアシリーズのダンディキャラ「スレイヤー」の一撃必殺技演出が元ネタ。ランダムで俳句を読む。「光の速さ」は速い事の代名詞だが、オンライン対戦でのラグを考えると光は格ゲーマーにとって遅すぎる。
連コイン:連続でアーケード筐体にコインを入れてプレイ続行すること。本来は、一度筐体から立ち、周りにプレイ待ちの人がいないかどうか確認するのがマナーである。
執事セバスチャン アーケードエディション(セリフ)
ストⅤアーケードエディションは最初アーケード版が発表されずに話題になった。のちに発表されたが、1先100円という価格設定のため流行らなかった。ゲーセン経営も大変だが、自宅だと無料なので仕方ない。ここの「アーケードエディション」は、ヒャッハー勢のゲーセン対応という意味が含まれていると思われる。
立ち回りで勝つことを放棄していた(セリフ)
2先ならともかく、10先であの戦略は無理があった。最初の一点読み⇒ジャンプ読みボルシチを何度通せば10本勝てると思ってたのか。10先で勝つというのはそれだけキッツイことである。板ザン、キチパなど強豪ザンギ使いは地上戦が異常に丁寧だったりする。もちろんワンチャンにゆだねる覚悟も大事だが、通常時の立ち回りで圧倒されると、ワンチャン択も通りづらくなるので、キツさが加速する。
紛れが起こる余地はない(セリフ)
紛れ:偶然。場面場面ではじゃんけんのような運ゲーになることもあるが、全体を通して試合プランを構築し、それを実行する実力があれば、運ゲーにはならない。
16777216色(用語)
16777216は「2の24乗」。24bitカラー。
対戦ありがとうございました(用語)
ネット対戦のテンプレあいさつだが、これができないプレイヤーが多い。オンラインでは仲良くマナーよく対戦しよう。逆に、オフライン対戦で勝った側がニヤニヤしながら言う「対戦ありがとうございました」はちょっと煽り要素が入ってる。《類語:板ザンに勝った後握手を求めるネモ》
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