久方ぶりの新刊『ドリフターズ』7巻が発売されました。第72幕「アステロイドブルース」から第86幕「人間大統領」まで収録。表紙は不敵な笑みを浮かべる判官九郎義経。久しぶりの新刊ですが、いつものヒラコー節は健在で、1冊丸ごと平野耕太!!で最高です。
新選組対新選組。本作でなければありえない邂逅。それをこの変な空気でギャグにしてるのが素晴らしい。本人知らない物まねタレントに、ご本人登場みたいな変な空気。この展開思いついたとき笑っただろうなぁ。
表紙にもなっている源義経のキャラクター付けについても興味深いです。様々なフィクションで描かれる彼が平野耕太によって再構築されます。奇を衒っていなく、戦の申し子であり、他者の気持ちがわからないが、それでいて人を惹きつける何かを持っているという男。与一の義経語りを「わかる」と語る信長が、また最高に格好いいんだ。
廃城の事務屋描写もヒラコーならでは。戦闘要員ではない後方には後方ならではのやることがあり、心意気がある、というのはHellsingのペンウッド卿を思い出されます。
第81幕「本能スピード」から、豊久を連れ帰った飛龍に視点が移ります。山口多聞、スキピオ、当事者島津豊久が首をそろえて、関ヶ原を復習するのは痺れます。戦とはなのか、を読者に理解させ、いまの戦争につなげる、重要な描写です。
黒王軍から離れた土方と義経。今後エンズと分かり合える可能性もあるのだろうか。なぜ黒王についているのか、そう召喚されただけなのか謎。今回、黒王の能力として”海割り”が示唆されたが、直接本人が語ることは少なかったので、彼も含めた黒王軍がどうなるのか全然予想がつきません。
巻末の落書き・国王様御乱心、びっしり最後まで描かれててなんか笑った。描きたいのかサービス精神なのかわかんないけど、ここまで見てヒラコーの単行本って感じもするので嬉しい。ご病気されていたみたいだけど、無理しないでゆっくりでも納得できる内容で進めて行ってほしいものです。カバー中から、奥付前のページまで一冊まるごと平野耕太が詰まってるしびれる一冊です。