漫画感想/ここは今から倫理です。1巻(雨瀬シオリ)





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「それでは倫理を始めます」

 

『ここは今から倫理です。』が単行本化されました。1巻には、#1「知らないこと」から#5「学校は眠い」までが収録されています。

クールな倫理教師高柳が生徒たちの抱える問題と独自のスタンスで向かい合う新世代教師物語です。ねっとりと絡みつくような画風、その中にすらっと立つ異様な雰囲気の倫理教師高柳。この教師のキャラ立ちが本作の興味深いところです。彼独自の考え方、スタンス、立ち居振る舞い、彼の一挙手一投足に目が奪われます。1話ずつ一人の生徒にスポットライトがあたるのですが、その誰もが彼に救われ、彼のことを気になる人間として目が離せなくなるのです。不思議な魅力を持った男、このキャラクター造形だけで、もうこの漫画の成功が約束されたようなものでしょう。

個人的にぐっと来たのは#2での魂の説得です。突発的に辛いことに見舞われ自殺を試みる生徒。屋上の高いフェンスを越えて向こう側に立つ生徒に対して、高柳がかける言葉に魂が揺さぶられました。生徒のセックスシーンを目撃しても、殴られても、全く動じない彼が2話にして初めてみせた狼狽えた表情でした。彼をもってしても人の死、死を選ぶ覚悟に相対することはそれだけの脅威だったのだとわかります。そしてひねり出した、おそらく彼らしくない解決方法の提示。ここ、もしかして読者を笑わせようとさせる狙いもあったのかもしれませんが、それだからこそ、懸命に生徒を救おうとしているのが伝わってきました。真剣だからこその異様な表情というのは目に残って忘れられなくなりました。

チラシ裏のコーナー
冒頭の「倫理は学ばなくても将来困ることはない学問です」は、高校の倫理教諭が授業の一番最初に言ったのを思い出しました。受験にもでないし、実用性も皆無。そう笑いながら言った男性教諭の姿が重なって、個人的な経験ですが、一気にこの作品に引き込まれました。倫理教諭は自己紹介としてこれを言うお約束でもあるのでしょうか。

 

 





2 comments to “漫画感想/ここは今から倫理です。1巻(雨瀬シオリ)”
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