アニメ映画感想/トラぺジウム





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乃木坂1期生高山一実原作のアニメ映画『トラぺジウム』を見てきました。ネタバレを十分含む形になりますので、視聴後にご覧ください。何事もあなたの最初の感情が一番大事。

 

 

 

 

 

以下、雑感走り書き。

 

●公開週末をまたいで水曜日に見ました。すでにsnsやPVでだいぶ露悪的な情報を受けていたので、おっかなびっくり見に行った感じでした。なので思ったより、だいぶすっきりした爽やか青春ストーリーという印象です。もっとこじれるかと思った。そこまで溜め込んだのもあったが、あっさり活動終了していて、番組主導ユニットアイドルの弱さもリアルだったように思える。

 

●東。東西南北4人の女の子を集めてアイドルをやるという目的のために、ほぼツテなしで各学校に乗り込んでゆく行動力は最初びっくりしたが、彼女の背景が明かされるにつれてすんなり心に落ちた。オーディションに落ちまくって崖っぷちで臨んだ最終最後の奇策だったのか。カナダ留学してたみたいだからそれで欧米的な主張の強さに影響受けちゃったかと思ったけど、その前からいじめられている子に積極的に話しかけるなど、いい意味で空気読めない性格だったと思われる。

「かわいいこはみんなアイドルやればいい」多分本当に心からアイドルが一番最高で楽しい仕事だと思ってるんだろう。アイドルになるしかない、アイドルor die!!みたいな生き様だったので、アイドル辞めるとか、手を抜くっていうのが許されないし、そういうことすら思いつかない。メンバーが努力しないのを見てイラつくのも当然ではある。彼女の中にはそんな選択肢ないのだから。人の気持ちを考えてないというより、自分と同一でない余地をあまりにも検討してなさすぎる。

しかしなんだかんだで人たらし。違う目的があったとはいえ、まったく知らない中で3人を見つけ出してちゃんと友達として仲良くなって、そのつもりじゃなかったアイドル頑張らせてるんだもんな。3人を見つけ出した目や綿密な計画立てて動いてるのも含めて、アイドルよりプロデュース側の才能が溢れている。

彼女がオーディションより大きな挫折を味わい、一旦冷却期間を経て、それでもやり続けて勝ち取った結果は素晴らしいし、だからあの頃を肯定しやすい。やべぇやつがやべぇまま成功した話になってないのは良いと思う。

「人間って光るんだって」は、キンプリの”プリズムの煌めき”みたいな比喩表現固有名詞ではなく、非常に直線的な表現で、東の性格を性質を表していて好き。

メンバーの彼氏バレのエピソード要るか?とも思ったが、東に「恋愛ってそんなに大事?」言わせるのが大事だったのかもしれない。「あなたにも愛する人ができれば」と返されたの、いまの東には言葉を尽くしてもわからない思うけど、という北なりの優しい返答だったと思う。そして大人になってもアイドルやってるうちは絶対恋人なんか作らないだろうな。そう考えると突然出てきた「どんなに情熱的なプロポーズをされても~」のくだりのつじつまが合うかな。恋愛の事相当下に見ている証左として。

気合い入れる時の首を抑えるしぐさ、心情を表す動作として入れたんだろうけど、えっちすぎない?

 

東の作戦ノート、鑑賞特典にしてくれ。詳細知りたい全部読みたい。

 

 

●東家族。母親がアニメの大人すぎる。聖人。父親未登場なのはいないのか仕事なのか。特にノイズにならない中流家庭というのも、夢見続けられる環境だということだろうか。

 

●南。東西南北の良心。お嬢様の天然キャラではあるが、新しい活動を楽しむ余裕があり、周りを気遣う言動が多い。初期からわかる西の性格と、北は彼氏PVを事前に見ていたこともあり、そのポジティブな言動から(もし順番に抜けるなら)最後まで残るのは南かなとも思っていた。やりたいことはアイドルではないけど、TV業界という新しいことを楽しむ素養があったし、なんならソロで一番人気でるのは南にみえる。ファンレターとsnsの数字もよかったよね?あのへんなインスタの動画もっと見たい。

善人でお金持ちにアイドルとボランティアやらせたら最高の結果が出力されたみたいなオチ、シンプルに救いだ。東以外の3人も、あの活動が楽しかったよね以外の何か実になる結果がすこーしだけあったほうが良いと思ったので。

天然ポジティブお嬢様キャラは、東の暗躍ばかりで不穏な空気の序盤から救いだった。その存在やノリから自分は南が一番好きで、南だけは生き延びてくれ~みたいな気持ちで中盤耐え過ごした。最後スタッフロールでCV上田麗奈って知った時、崩れ落ちるかと思った。最近初見で惹かれるキャラが全部気が付いたらCV上田麗奈さんになってて困っている。(閃光のハサウェイ:ギギ、チェンソーマン:レゼ、アリスとテレスのまぼろし工場:佐上睦実、ユニコーンオーバーロードはメインヒロインと契約する予定が完全に声にやられてロザリンデとつい契約してしまった。)

 

●西。自分であることに重きを置く少女。人前に出てキラキラしたいという承認欲求はなく、逆に苦手。目に見えてアイドルに向いていない人物。もうちょっと早く気付いてあげられなかったのかとも思うけど、走り出したら止められないのがアイドルだ。

自分の得意ジャンルでもちろん回答できるクイズで、テレビのテンポやノリ、自分が前に出ることに躊躇して答えられなかった場面、実際のアイドルでも見たことあるから、自分も見ながら西みたいななんともいえない苦悶の表情になっていたと思う。つらかっただろうし、自分の専門ジャンルでももう何もできないって相当だもんな。

 

●北。初手ボランティアに誘ってくる、こっちも東に負けず劣らずやべぇやつかと思ったけど、最後にいろいろつながった。いじめ不登校から救ってくれたのが、東とボランティアグループだったのだろう。見た目良いし、彼氏持ちPVが先に流れてきていたので陽キャ寄りの人物だと思っていたが、全然そんなことはなく、自分の身近な周囲の人から笑顔にしたいという素朴で善良な人間だった。

(CVの方には申し訳ないが)声音が早見沙織っぽくて、ルックスも早見沙織がやりそうなキャラだと個人的には思ってしまった。

 

 

●男。星要素提供係。タイトル回収マン。誰かと恋仲になったりする役得係だと思ったけど、語り部でした。最初の気持ち悪い感じどこに行ったんだ。

 

 

●ライブシーン、歌。ライブシーンは1曲だけなのでちゃんとしてた。いやあんな状態でお披露目だったので、ミスるかなと思いながら見てたんですよ。一人だけ振り付け遅れたりミスする表現は却って難しいし、最初で最後のライブシーンだから成功する形にしたんでしょうか。

そういえばシングルデビューしてないんだな。2曲とも歌詞と一緒に噛み締めるスルメ曲なので、作中での感想はそこそこだったけどスタッフロールで歌詞付きで聞いたら感動してしまった。サントラ欲しい。

 

●アイドル業界については、受け手がすでに持ってる情報量でだいぶ印象が異なりそう。自分に不得意なことを求められるつらさや、ただただ忙しさに忙殺されていくつらさ、ライブ前緊張感で泣くメンバー、は現実のアイドルドキュメンタリーではよく登場するので見たことある人も多いでしょう。ただフィクションのアイドル作品ではちょっと説明しにくい要素であり、あまり見ない。

また、アイドルというのは基本プロデュースする大人が居て、楽曲の制作や仕事セレクトなど全面的にやってくれる。そういう意味で、楽しい場合は良いが、しんどくなってくるとやらされている感がきつくなっていく。東が練りに練った計画はその通りに進まず、深夜番組に出演することになってからとんとん拍子に事が進んでいくのもアイドルというのを象徴している出来事である。

所属事務所のダンディなプロデューサーを敵にも味方にも寄せなかったのは、これはあくまで彼女たちの話であるという演出でしょう。(フェスの口パク披露は現実アイドルではままあることだと思う。)うまくいかないことの原因は、芸能界の闇とか悪い大人のせいではなく、彼女を視野狭窄状態にまで追い込んだ執着心なので。

 

見終わって少し時間が経ってから気づいたんですが、この作品、客・ファンがほとんど出てこない。しいて言えば車いすの幼児。フィクションアイドルでよく出てくる、応援してくれる人がいるから~、ファンを笑顔にしたい、みたいな感じは全くさせないのも、東の自己中心的な行動を目立たせる一因なのか。

 

 

 

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