編集から漫画家漫画を依頼されて始まった本作。漫画家周辺のあるあるネタを中心としたギャグマンガです。日頃からパロディやほかの作品をネタにするのが久米田先生の作風でした。今回は“漫画”がテーマですから完全に振り切ってます。サンデー(小学館)とマガジン(講談社)を渡り歩いてきていますからもう怖いものなしです。ジャンプ(集英社)ネタが多い気がするのはご愛敬です。各話サブタイトルのパロディや、目次のコメントまで作品を構成する大事な要素になっています。細かいところまでネタにしていて、いろいろと探す楽しみがあります。長年少年誌でギャグマンガを描き続けている久米田先生ですが、いまだに切れ味鋭いギャグマンガを書き続けられていることにちょっと興奮しました。
ラブコメの構造を茶化しながらもなぜかモテてしまう主人公や、家族について明かされないまま進行する物語など、ギャグ以外でも興味をそそられます。ラブコメや家族ドラマの要素を盛り込みつつ、本編ではしっかり笑わせる。笑いとシリアスの多重構造になっており、非常に凝った構成になっています。
単行本の巻頭巻末に収録されているカラーページは、絶望先生の最終回を彷彿とさせます。先生本人が”引き伸ばします”なんて茶化していますが、それすら伏線にしそうな期待があります。”過去に書いた漫画のイメージから抜け出せない”なんてネタも使っていましたが、まさにそれ。久米田先生はどの過去作でも読者の期待以上のオチで終わらせてきました。それを超えるものを期待してしまうのはしょうがないことでしょう。本編でも少しずつ明かされていく、可久士先生と姫の過去。本編とカラーページの相乗効果が今後どのようなシンクロしていくのか、久米田康治”巨匠”の作るネタが楽しみです。
チラシ裏のコーナー
先日、畑先生の新連載「トニカクカワイイ」を冷やかす復活読切「新しい恥図」がサンデーに掲載されたのは、記憶に新しいでしょう。かなり面白かったです。新連載が状況説明に終始してしまったので、こっちの暴走ぶりがまた気持ちよかったというか。自分では、“落ち着いてきた”漫画家なんて言っていますが、まだまだ第一線で戦うギャグマンガ家でしょう。むしろ巨匠。
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